東京には日本画を楽しめる美術館がたくさんありますが、どこに行けばいいか迷っていませんか?
そこで今回は、日本画を楽しめるおすすめの5つの美術館をご紹介します。
それぞれの美術館の見どころやアクセス方法もお伝えしますので、ぜひ参考にしてくださいね。
東京国立近代美術館
東京国立近代美術館は、近現代の日本画を幅広く展示する美術館です。
ここでは、明治時代から現代までの日本画家たちの作品を約13,000点所蔵しており、その一部を常設展示や企画展で見ることができます。
また、西洋美術や工芸品なども展示されており、日本画と対比してその特徴や変遷を理解することができます。
企画展「東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密」について
とても有名な作品を間近で観ることができました。
長い年月を超えて受け継がれてきた作品の歴史と、制作した作家の深い情熱を肌で感じることができました。
過去、現在、未来の繋がり、各時代の息吹が作品に込められ、それが現代にも響いていることを実感しました。
視覚的な傑作以上の物で、歴史と作家の精神を継承する生きた証言として存在しています。
以下の写真は、撮影が許可されていた作品の一部です。
作品紹介
生々流転《横山大観》
この作品は、企画展の時に、目にすることが出来る作品です。
「絵巻物」に水の一生という物語が描かれています。
鑑賞している時、人生を思い考えてしまいます。
横山大観の『生々流転』は、龍となって天に昇り、再び一滴の雫となって新たな生を迎えるという物語が、その壮大さとともにファンタジックな魅力を放っています。
この作品の筆致は実に見事で、一筆で描かれるような独特の筆使いには深く憧れを感じます。
子供の頃にプレゼントでいただいた『くるくる回すだけで模様が描ける定規』を使って、絵巻物方式で様々なパターンを試したことを思い出します。
また、長い巻物の制作という点では、
高校生の時に夏休みの自由研究として「世界と日本の比較歴史年表」を作成した経験があります。
どちらの制作もかなりの手間がかかりましたが、
完成した時の満足感と達成感は言葉では表せない程でした。
このような経験があるからこそ、
『生々流転』のような長大な作品に対する感動が一層深いものになっているのかもしれません。
作品を通じて、自然の循環や生命の神秘、そして変化の美しさを感じ取ることができ、私にとってはただ絵を鑑賞する以上の深い感動を与えてくれました。
大観の技術はもちろん、彼の表現する世界観にも圧倒され、見る者それぞれに異なる想像力と感情を喚起する、まさに時間を超えた芸術作品です。
東京国立近代美術館は、千代田区北の丸公園内にあり、九段下駅から徒歩約3分、竹橋駅から徒歩約5分の場所にあります。
アクセス
住 所:〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3−1
利用案内
開館時間
10:00–17:00
(金・土曜は10:00–20:00)
企画展は、展覧会により開館時間が異なる場合があります。
いずれも入館は閉館30分前まで。
休館日
月曜日(祝休日は開館し翌平日休館)、展示替期間、年末年始
東京都美術館
東京都美術館は、西洋美術と日本画が共存する美術館です。
ここでは、都内外の公募展や国際交流展など多様な展覧会が開催されており、日本画だけでなく様々なジャンルの作品を楽しむことができます。
また、所蔵作品展では、東京都が収集した約5,000点の作品から選りすぐりのものを見ることができます。
その中には、横山大観や平山郁夫などの日本画家たちの名作も含まれています。
また、毎年9月初めから約2週間、日本画公募展最高峰とされる「再興院展」が開催されます。
毎年観に行きます。
作品のクオリティの高さは目指したいものです。
作家紹介
手塚雄二
第107回 再興院展 2022年
- 作品紹介
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「池之端の鴨は悠々と往く。
世の中の喧騒に背を向けて。」
画中の鴨が静かな池を滑るように泳いでいる様子と、それがもたらす穏やかな逃避を表現しています。
周囲の喧騒から離れ、一時の平和を享受しているかのような、この鴨の姿は、観る者にも同じような感覚を呼び起こすことでしょう。
手塚雄二先生の繊細な筆使いが、見る者を現実から一歩引いた場所へと誘います。
手塚雄二先生は、日本美術院同人・業務執行理事、東京藝術大学名誉教授である日本画家であり、先生の作品は日本の伝統的な美術様式と現代的な感覚が見事に融合していることで知られています。
手塚先生の作品には、日本の自然や季節の移ろいを表現する繊細な筆使いが特徴的で、技術の高さと芸術への深い理解が伺えます。
手塚先生の作品は、日本画の古典的な技法と現代のアートシーンの新しい動向を組み合わせることにより、独特の芸術世界を創り出しています。
彼の芸術は、国内外で高く評価されており、日本の美術界における重要な存在です。
雄大な中に繊細で優しくて自然な光溢れる風景画で、
画風が好きな先生の一人です。
百貨店の個展に伺って画集を購入させていただきました。
東京都美術館は、台東区上野公園内にあります。
アクセス
住 所:〒110-0007 東京都台東区上野公園8-36
TEL:03-3823-6921(代表)/ FAX:03-3823-6920
E-MAIL:tobi@tobikan.jp
JR上野駅「公園改札」より徒歩7分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅「7番出口」より徒歩10分
京成電鉄京成上野駅より徒歩10分
※駐車場:無し
利用案内
開館時間
9:30~17:30
特別展開催中の金曜日
9:30~20:00
※いずれも入館は閉館時間の30分前まで
休館日
全館休館日
第1、第3月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)
特別展・企画展
月曜日休室(祝日・振替休日の場合は翌日)
整備休館
12月下旬、1月中旬 年末年始
※詳細はHPをご確認下さい。
根津美術館
根津美術館は、私立美術館の中でも最高峰の日本画コレクションの美術館です
ここでは、国宝や重要文化財を含む約7,600点(2021年12月末時点)の日本・東洋古美術品を年7回の展覧会で見ることができます。
特に日本画のコレクションは圧巻で、円山応挙や狩野派、浮世絵など多彩な作品が揃っています。
また、庭園や茶室も併設されており、日本の伝統文化に触れることができます。
作品紹介
燕子花図(かきつばたず)《尾形光琳》 【国宝】
総金地の六曲一双屏風に、濃淡の群青と緑青によって鮮烈に描きだされた燕子花の群生。
根津美術館 HPより
その背後には『伊勢物語』第9段の東下り、燕子花の名所・八つ橋で詠じられた和歌がある。
左右隻の対照も計算しつつ、リズミカルに配置された燕子花は、一部に型紙が反復して利用されるなど、一見、意匠性が際立つが、顔料の特性をいかした花弁のふっくらとした表現もみごとである。
筆者の尾形光琳(1658?1716)は京都の高級呉服商に生まれ、俵屋宗達に私淑した。
本作品は、江戸時代のみならず、日本の絵画史全体を代表する作品といって過言ではない。
この作品は、企画展の時に、目にすることが出来る作品です。
https://www.nezu-muse.or.jp/sp/collection/detail.php?id=10301
この絵は、2018年4月14日〜5月13日「光琳と乾山」という根津美術館の企画展で展示されました。
当時、「燕子花図」と、美術館の庭園に群生する燕子花を拝見することが出来ました。
一見シンプルに見えて、僅かに描き分けてある燕子花の表現と、水辺があるような奥行きのある構図が素晴らしいです。見事に咲き誇っている姿が想像できます。
実際は、画像で見るよりもっと深みと幅のある色彩でした。背景の金箔も落ち着いて自然の光の中の様で、燕子花の群生の鮮やかさを引き立てるようでした。
左の絵は、展覧会「光琳と乾山」を、花菖蒲をスケッチして描いた絵です。
根津美術館は、表参道駅から徒歩約10分、外苑前駅から徒歩約8分の場所にあります。
アクセス
地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線
〈表参道〉駅下車
A5出口(階段)より徒歩8分
B4出口(階段とエレベータ)より徒歩10分
B3出口(エレベータまたはエスカレータ)より徒歩10分
都バス渋88 渋谷~新橋駅前行
〈南青山6丁目〉駅下車 徒歩5分
駐車場
9台(うち身障者優先駐車場1台)
利用案内
開館時間
午前10時~午後5時(入館は4時30分まで)
展示室 / ミュージアムショップ /庭園 / NEZUCAFÉ
休館日
月曜日・展示替期間・年末年始
ただし月曜日が祝日の場合、翌火曜日
入館料
※詳細はHPをご確認下さい。
山種美術館
山種美術館は、根津美術館の創設者である根津嘉一郎氏の甥である山種善之助氏が、自ら収集した日本画や東洋美術を公開するために開設した私立美術館です。
山種コレクションは、江戸時代からから現在までの近代・現代日本画を中心に約1800余点を所蔵。その所蔵品は、日本画だけにとどまらず、古画、浮世絵、油彩画なども含まれています。
特に、日本画界の巨匠たちの作品が充実しており、その質と量は私立美術館の中でも最高峰といえます。
【重要文化財】
岩佐又兵衛(1578-1650)《官女観菊図》
椿椿山(1801-1854)《久能山真景図》
竹内栖鳳(1864-1942)《班猫》
村上華岳(1888-1939)《裸婦図》
速水御舟(1894-1935)《炎舞》《名樹散椿》
【重要美術品】
酒井抱一(1761-1828)《秋草鶉図》など【コレクション】
速水御舟(1894-1935)120点
川合玉堂(1873-1957)71点、
奥村土牛(1889-1990)《鳴門》《醍醐》など135点
横山大観(1868-1958)《作右衛門の家》《心神》
下村観山(1873-1930)《老松白藤》
上村松園(1875-1949)《砧》
鏑木清方(1878-1972)《伽羅》
小林古径(1883-1957)《清姫》(8面連作)
安田靫彦(1884-1978)《出陣の舞》
前田青邨(1885-1977)《蓮台寺の松陰》
川端龍子(1885-1966)《鳴門》
東山魁夷(1908-1999)《年暮る》他、明治から現在までの近代・現代日本画を中心に約1800余点を所蔵。
山種美術館 HPより
https://www.yamatane-museum.jp/collection/index.html
山種美術館では、年間5~6回の企画展を開催し、所蔵品をテーマ別に紹介しています。
また、2012年にはグッドデザイン賞を受賞したスタイリッシュな建物も見どころのひとつです。
日本画の名品を一堂に集めた貴重な美術館です。
作品紹介
名樹散椿 《速水御舟》【重要文化財】
紙本金地・彩色・屏風(2曲1双) 各167.9*169.6 重要文化財
山種美術館 HPより
[作品解説]
山種美術館 HPより
《名樹散椿》は昭和52(1977)年に重要文化財に指定されました。
昭和期の作品で重要文化財に指定された最初の作品です。
この椿は、京都市北区にある昆陽山地蔵院(俗称・椿寺)の古木を描いたものです。
白・紅・桃色・紅白絞りと種々の華麗な花を咲かせ、しかも山茶花のようにひとひらずつ散る五色八重散り椿として有名である。
御舟が写生した当時樹齢400年程の老木は惜しくも枯れ、現在は二世の散椿の木があります。
https://www.yamatane-museum.jp/collection/collection.html
企画展で、展示されることがあります。
また、以前「美の巨人たち」というTV番組で取り上げられました。
「名樹散椿」は、日本画の伝統的な手法とモダニズムの感性が見事に調和した作品です。
金箔を背景に用いることで、自然の美しさとは対照的な豪華さと格式を感じさせます。
その上に描かれた椿の木は、力強くも曲がりくねった枝を通じて、生命の躍動を表現しているようです。
色鮮やかな椿の花々は、生き生きとしており、儚さと永遠性の両方を兼ね備えた自然の一場面を捉えています。
この作品の特徴は、椿の花びらが散りばめられた地面であり、季節の移ろいを感じさせ、観る者には一年の周期を想起させます。
椿が満開の美しさを誇る瞬間と、花が散る様子は、日本の四季の移り変わりと自然の美しさを象徴しています。
また、画面を埋め尽くす植物の表現が、どこか懐かしさを誘い、静謐な雰囲気を醸し出しています。
速水御舟はこの作品で、自然の中にある「生」と「死」、「美」を静かに、しかし力強く表現しており、その独自の色彩感覚と構図は、日本画の新たな可能性を提示しています。
継ぎ目がわからないくらい綺麗に貼られた金箔の背景、
大きな画面で艶やかに咲く花々、卓越した技術に憧れます。
Shop & Cafe
ミュージアムショップ
展覧会会場と同じフロア、B1Fにあり、行われている展覧会や日本画をテーマにしたミュージアムグッズを購入することができます。
カフェ
1Fのエントランスにあり、行われている展覧会の絵をモチーフにした和菓子が提供されています。
また、和菓子は持ち帰りができます。
ミュージアムショップ、カフェのみの利用も可能です。
アクセス
所在地
〒150-0012
東京都渋谷区広尾3-12-36
TEL 050-5541-8600 (ハローダイヤル)
【徒歩でのアクセス】
JR恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅 2番出口より徒歩約10分
【バスでのアクセス】
- 恵比寿駅西口1番乗り場より日赤医療センター前行都バス(学06番)に乗車、「広尾高校前」下車徒歩1分
- 渋谷駅東口ターミナル54番乗り場より日赤医療センター前行都バス(学03番)に乗車、「東4丁目」下車徒歩2分
※駐車場:無し
利用案内
開館時間
午前10時から午後5時
月曜休館。入館は閉館の30分前まで
※今後の状況により、開館時間は変更になることがあります。
休館日
毎週月曜日(祝日は開館、翌日火曜日は休館)
展示替え期間、年末年始ご来館の皆さまへのお願い
※詳細はHPをご確認下さい。
郷さくら美術館
郷さくら美術館は、2006年に福島県郡山市に開館し、2012年には東京の中目黒に東京館をオープンした、現代日本画専門の美術館です。
ここでは、昭和以降に活躍する日本画家による現代日本画の数々を収集・展示しており、特に桜をテーマにした作品に力を入れています。
郷さくら美術館の目玉は、通年で満開の桜の大作を展示する常設展示室です。
ここでは、通年50号を超える大画面の桜の日本画が壁一面に飾られています。
訪問者は、壁一面に広がる桜の絵画に囲まれ、まるで桜の回廊を歩いているかのような魅惑的な体験を楽しむことができます。
大画面の桜に包まれると、訪れる人々は現実を離れ、夢幻的な桜の世界に浸ることができます。
この独特な展示は、桜の美しさを新たな視点から感じさせ、訪問者に幻想的な旅を提供します。
また、毎年開催される桜花賞展は、若手日本画家の発掘や育成に寄与しており、現代日本画の新しい可能性や魅力を発見する絶好の機会です。
郷さくら美術館には、訪れる者に日本画の魅力を深く伝える特別な画材展示コーナーが設けられています。
ここでは、伝統的な絵具や筆、紙などの道具を通じて、日本画がいかにして生み出されるかの過程を垣間見ることができます。
展示は、日本画を学ぶ上で必要な道具を揃える際の参考になるだけでなく、この独特な芸術形式への敬意を新たにする体験となるでしょう。
さらに、郷さくら美術館の近くには、桜の名所として知られる目黒川が流れています。
春には桜が満開となり、美術館訪問と併せて、桜並木の美しさを楽しむことができるでしょう。
この二つの組み合わせは、芸術と自然の美しさを同時に味わえる、素晴らしい体験となるはずです。
作品紹介
春夜三春の瀧櫻 《中島千波》
[作品解説]
三春の瀧櫻は、福島県田村郡三春町大字滝字桜久保にある日本五大桜または三大巨桜の一つで、その樹齢は推定千年の歴史を有する桜の木です。
夜にライトアップされた桜が静けさの中で華やかに咲き誇る様は、観る者の心に深い印象を残します。
画家は琳派のように、様式化されたスタイリッシュな花の表現を用いながらも、花びら一つ一つに変化を持たせ、それにより絵画全体に奥行きとリアリズムを与えています。
また、白と藍の点描技法によって、桜の花が夜空に浮かび上がる幻想的な効果を生み出し、この技法は遠目からも近くからも異なる美しさを感じさせます。
筆致の美しさと色彩の変化が、古代の巨木が現代に息づく様子を巧みに表現しており、中島千波先生の手によって桜の古典的なイメージが新たな命を吹き込まれています。
中島千波先生は現代日本画を代表する画家で、多岐にわたるテーマを扱いますが、特に花鳥画において高い評価を受けています。
中でも桜はその代表的なモチーフであり、先生の芸術的アイデンティティを象徴していると言えるでしょう。
夜桜の奥行きのある幻想的な雰囲気を、形式化された様な形の桜の花びらで表現されています。
深い藍青と白い桜の花びらの色の対比と合わせて、とても印象に残る作品です。
郷さくら美術館は、中目黒駅から徒歩約5分の所にあります。
アクセス
所在地
〒153-0051
東京都目黒区上目黒1-7-13
TEL : 03-3496-1771
利用案内
開館時間 : 10:00 ~ 17:00(最終入館16:30)
休館日 : 月曜日(祝日/振替休日の場合は翌日・又は直後の平日)
年末年始、展示替え期間
入館料
入館料
・一般:800円
・大学生・高校生:300円
・中学生以下:無料
※ 料金はいずれも消費税込み
※ 小学生は保護者の同伴が必要です
※ 障がい者手帳・療育手帳をご提示頂いた方のみ、該当料金の半額です。
※詳細はHPをご確認下さい。
「日本画の魅力を堪能!おすすめの美術館〜東京5選〜」のまとめ
東京で日本画の魅力を堪能できる7つの美術館を巡るおすすめコースをご案内しました。
それぞれの美術館では、日本画の歴史や特徴、現代性や多様性を感じることができます。
- 東京国立近代美術館
-
近現代の日本画を幅広く展示
- 東京都美術館
-
西洋美術と対比して日本画の魅力を発見
- 根津美術館
-
私立美術館の中で最高峰の日本美術コレクション
- 山種美術館
-
日本画を一堂に集めた貴重な美術館
- 郷さくら美術館
-
現代日本画の専門美術館で桜の大作に感動
さいごに
日本画は、日本の伝統的な美意識や文化を表現した芸術です。
東京には、日本画の名作や現代作品を鑑賞できる美術館がたくさんあります。
日本画の繊細な筆致や色彩、空間や時間の表現に触れることで、日本人としてのアイデンティティや感性を深めることができます。
ぜひ、東京の日本画美術館に足を運んでみてください。
日本画の世界に魅了されること間違いなしです。
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